日本では水が原因で体調を崩すということはほとんどありませんが、海外旅行中にうっかり水道水をそのまま飲んで腹痛で苦しんだというのは割とよくある話です。せっかくの旅行なのに水が原因で散々な思いをするというのは避けたいですよね。
また中国に仕事や留学などで長期滞在することになったら、安全な水の確保は最も大切なことの1つとなります。
そこで今回は、現地在住の筆者が中国で安心して水を飲むための役立ち情報をご紹介します。
中国の水は飲める?在住者に聞く現地の水事情!
1. 慢性的な水不足に悩む中国
13億以上の人口を抱える中国ですが、慢性的な水不足が深刻な問題の一つとなっています。百度(バイドゥ)百科では、中国の水資源は世界の水資源全体の6%を占めるにすぎず、一人当たりの水資源量は世界平均の四分の一であり、一人当たりの水資源量が最も不足している国家の1つと紹介されています。汚染もかなり深刻なため、衛生面での改善が常に求められていますが、実情はかなり厳しく、衛生面で安全な水の確保が社会問題の1つとなっています。
また中国北部は乾燥地域であり、年間降水量も少ないため、それも水不足の一つの原因とされています。
2. 中国北部の水はどこから?
筆者は天津の前に10年ほど北京で生活していたのですが、秋から冬の乾燥はひどいもので、ある年は4か月の間1㎜の降水も認められないということもありました。あまりにひどいので、政府が人工的に雨を降らせるという措置を取ったほどでした。
簡単に言うと何かの物質を積んだロケットを雲に向けて発射し、それが雲に当たることで雨を降らせるという仕組みで、何かの式典に合わせてその方法で雪を降らせたということもありました。
それほど水が不足している北部地方のため、別の地方から水を運んでくるということが行なわれています。中国語で「南水北調(ナンシュイベイディアオ)」という政策で、漢字の通り南の水を北に運んで提供するということです。中国でも南部は降水量が多いため、実現した政策と言われています。
3. 水質の心配は?
中国でも100項目以上に及ぶ「生活飲用水基準」が法律で定められていて、飲料水の安全に関する厳格な基準が存在しています。そのため基本的には、「自来水(ズーライシュイ、水道水)」も沸かして飲めば安全とされています。
また地域によって多少の違いはあるようですが、WHOの基準から見ると中国の水は硬度が高めの硬水となっています。水道水を沸騰させると、鍋の底の方に白い不純物がこびりついているので、それを見ただけでこれを飲むのはちょっとと感じる方も多いかと思います。
4. 中国人の飲料水対策①
上で述べたように水道水も沸かせば安全ということなので、中国人の多くは朝の時点で水を大量に沸かし、それを大きな魔法瓶に入れて一日の飲料水としています。2リットル以上入ると思われる魔法瓶が何本も並んでいるという光景も以前はよく見られました。
それでも生活水準が向上するに伴って、また飲料水のリスクに関する情報が豊富になるにしたがって、飲料水に対する対策も変わってきているようです。
5. 中国人の飲料水対策②
中国人の中でも「安全な水は沸かすものでなく、購入するものだ」という意識が高まり、「純浄水(チュンジンシュイ)」と呼ばれる不純物を処理済みのボトルウォーターが好まれています。今では集合住宅の多くにウォーターサーバーが設置されており、筆者もそれを利用しています。値段はまちまちのようですが、筆者が購入している会社では1リットル0.3元(約5円)で提供されています。
また18リットルの大型ボトルになると、電話一本で家まで配達し、設置までしてくれるので便利です。水のメーカーも幾つかあるので値段も様々ですが、15元から20元前後が相場のようです。400円以下で18リットルと考えると、かなり安く感じます。
6. 中国人の飲料水対策③
水道水を沸かすのも不安だけど、自分で買いに行くのも面倒くさいという人たちの間で、また特に生活水準の高い人たちの間で、家庭用の浄水器を取り付けることも多くなっています。
家電量販店や家具の販売店に行って聞くと、海外製の浄水器が人気だということでした。定期的にフィルターを交換するため費用もそれなりにかかるそうですが、最も便利で安心という声もよく聞かれます。
最近筆者の友人にフィルター交換の際の写真を見せてもらったのですが、水質のひどさが非常に明らかで不安に感じるものでした。
7. レストランで提供される水は?
日本と違って、冷水が提供されるということはまずありません。ウエイターを呼んで「白開水(バイカイシュイ)」と頼むと、水道水を沸かした白湯が出てきます。お茶を頼んでも基本的に使用されているのは水道水なので、心配な場合は有料の水や清涼飲料水を注文されるようおすすめします。
なお、レストランで使えるフレーズや「おいしい」の色々な中国語の言い方を以下にまとめていますので、ぜひ合わせてチェックしてみてください。
8. おすすめの水ブランド
スーパーやコンビニエンスストアでペットボトルの水を購入することができ、様々なメーカーの水が2-3元で販売されていますが、日本人に好まれているのは「雀巣(ネスレ)」と「依雲(エビアン)」で、日本人の家や日系企業に伺うとよく提供されるのがこの二つです。世界的にも有名ですし、安心感がありますね。
また少し高めの「Ganten景田百歳山」というミネラルウォーターや、一般的なところでは「農夫山泉」という飲料水が安心して飲めるものとされています。
まとめ
今回は中国の水事情についてご紹介しましたが、いかがでしたか?
日本人としては当たり前の存在のように感じる飲料水も、中国ではその確保に様々な対策が行なわれています。今回ご紹介した対策やメーカーは安全・安心なものなので、次回の旅行や滞在にぜひご参考ください。
中国の水は飲める?在住者に聞く現地の水事情!
1. 慢性的な水不足に悩む中国
2. 中国北部の水はどこから?
3. 水質の心配は?
4. 中国人の飲料水対策①
5. 中国人の飲料水対策②
6. 中国人の飲料水対策③
7. レストランで提供される水は?
8. おすすめの水ブランド