仕事や旅行、留学などなどお隣の国、中国に行く日本人はたくさんいます。その理由と滞在期間は人それぞれです。こういった場合どのビザが必要となるのでしょうか?その手続きは?どこに申請して何日くらいで受け取れるのか?と初めて中国のビザを申請するにあたって疑問は尽きません。
筆者は11年以上中国に在住しており、観光ビザ、商用ビザ、親族訪問ビザ、留学ビザの取得経験があります。今回は、筆者個人の経験も踏まえ、訪中ビザの種類から、必要な条件、申請に必要な書類、申請対象となる機関、費用などについてご紹介します。
中国のビザ取得!手続きで苦労しないための7つの注意事項!
1. そもそもビザが必要か確認する
日本人が中国を訪問する場合、15日以内の滞在について、入国目的が観光・商用・親族訪問・通過であれば、ビザは不要です。ビザが必要となるのは15日を超えての観光と、商用、留学、就労などの目的のための訪中です。
まず最初にあなたの渡航が果たしてビザが必要なものかどうかまず確認しましょう。
2. どのビザを申請する必要があるのか確認する
あなたの今回の渡航がビザが必要である場合,次は数あるビザの中、どれのビザを申請するべきなのか確認しましょう。
2013年9月1日より、中国の法令改正に伴い、中国のビザ種類等が変更になりました。ビザの種類と対象となる申請者を下記に示します。
▼ビザ種類
C
乗務で訪中する国際列車や航空機の乗務員,船員,及びその家族
D
永住居留権を持つ人員
F
交流,訪問,視察等
G
トランジット
J-1
常駐(居留が180日以上)の外国常駐記者
J-2
短期取材(居留が180日以下)の外国記者
L
観光
M
商用,貿易活動
Q1
中国在住の中国人親族家族(配偶者,父母,子女,子女の配偶者,兄弟姉妹,祖父母,孫子女,及び配偶者の父母)を訪問,又は中国永住居留権所持者の外国人(配偶者,父母,子女,子女の配偶者,兄弟姉妹,祖父母,孫子女,及び配偶者の父母)を訪問
Q2
短期(居留が180日以下)で中国在住の中国人家族,又は中国永住居留権保持者を訪問
R
中国が必要とする外国人高度人材,専門分野人材
S1
中国で就労,留学等の理由で滞在をしてる配偶者,父母,18歳未満の子女,配偶者の父母,及びその他私的理由により中国に居留中の人員を長期(180日以上)訪問
S2
中国で就労,留学等の理由で滞在をしてる配偶者,父母,18歳未満の子女,配偶者の父母,及びその他私的理由により中国に居留中の人員を短期(180日以下)訪問
X1
長期留学(180日以上)
X2
短期留学(180日以下)
Z
就労
比較的取得しやすいのは観光ビザですが、就労を行うことはできません。実際の目的に沿った内容のビザを申請する必要があります。
3. ビザ取得までの日数を確認し計画を立てる
どのビザを申請するか決めたら、出発日に間に合うように前もってビザを申請する準備をしましょう。書類に不備があって提出し直しになったり、申請したものの許可が下りなかったりすることもあります。また土日祝日はビザ取得のための日数に入りませんので、連休のある月は特に要注意です。
下にビザ取得日数をまとめました。これは自分自身で申請した場合であり、代理店などを通して申請する場合は、さらにプラス3、4日営業日がかかります。また緊急や特急などの加急申請を行う場合、余分に費用がかかります。
(大使館・領事館の休館日を除く)
・普通申請:
申請日を含めて4日
・加急申請:
申請日を含めて3日。名古屋のビザ申請センターにおける申請は「普通申請」のみ。所要日数は申請日を含め6日間(東京にて審査されるためビザ取得日数は2開館日多く必要。
・特急申請:
申請日を含めて2日(《福岡》申請日の翌日または翌々日受領)
4. ビザ取得費用
ビザ取得にいくら費用がかかるのかをまとめました。もし急いで受け取りたい場合、追加で費用が加算されます。
▼ビザ申請費用(自分で申請した場合)
※入国回数:普通申請/加急申請/特急申請で表記(単位:日本円)
・シングル(1回):8,000/14,000/17000
・ダブル(2回):10,000/16,000/19,000
・6ヶ月マルチ:11,000/17,000/20,000
・12ヶ月マルチ:15,000/21,000/24,000
代理店を通しての申請も可能です。その場合代理店にもよりますが、上記の料金プラス4,5000円程度の手数料がかかります。
5. 必要な書類を事前に確認する
ビザの種類は数多くありますが、中でも申請者が比較的多い観光,商用,家族,就労,留学ビザについて以下に必要書類をご紹介します。
ここでの注意点は申請先や個人の状況に応じて申請書類が若干の異なったり、追加の書類を要求されることもありますので、事前に一度申請先に電話して、あなたの状況を伝えた上で必要書類を確認しましょう。
全てのビザに共通する書類は下記の5点です。
・パスポート原本(有効期限が6ヶ月以上残っていること)
・パスポートコピー
・証明写真(縦4.8mm✖️横3.3mmの6ヶ月以内のものが必要)
・申請書(証明写真を貼付する)
・申請代金
また、上記の5点以外に各ビザで別途必要となる書類は以下の通りです。
▼観光ビザ(Lビザ)
・航空券(eチケットお客様控)
・ホテルの予約確認書コピー(知人宅に宿泊する場合は、知人からの招聘状)
▼商用ビザ(Mビザ)
被授権単位邀請函または邀請確認函がある場合、以下の書類は不要。(被授権単位邀請函、邀請確認函は中国政府機関発行の招聘状のこと)
「シングル(一回入国)」
・中国の受入先企業が発行した招聘状
・所属会社が発行した証明書
「マルチプル(複数回入国)」
・中国の受入先企業が発行した招聘状
・所属会社が発行した証明書
・過去の中国渡航歴を証明する書類
▼就労ビザ(Zビザ)
「短期就労ビザ(30日以内)」
・外国人在中国短期工作証明の原本
・下記書類のいずれか1つ(原本+コピー)
①「外国人就業許可証書」または「外国人就業証」
②「外国専家来華工作許可証」
③「常駐代表機構登記証」
④「商業目的文芸演出許可書」(文化行政管理部門発行/友好目的公演を除く)
⑤「外交人在中華人民共和国从事海上作業邀請函」(中国海洋石油総公司発行)
⑥ 外国文化センター招聘職員確認書
▼長期就労ビザ(91日以上)
下記書類のいずれか1つ(原本+コピー)
1-1「外国人就業許可証書」または「外国人就業証」
1-2「外国専家来華工作許可証」
1-3「常駐代表機構登記証」
1-4「商業目的文芸演出許可書」(文化行政管理部門発行/友好目的公演を除く)
1-5中国海洋石油総公司発行の「外交人在中華人民共和国从事海上作業邀請函」
下記書類のどちらか1通(上記1-5を提出する場合は不要)
2-1「被授権単位邀請函」
2-2「邀請確認函」
▼家族ビザ(Sビザ)
渡航目的は(就労・留学等で中国に居留している)日本国籍の親族訪問または同居が基本。一般的には赴任家族(ひきまとめ家族 / 帯同家族 / 駐在員家族)に必要なビザになります。(配偶者、父母、18未満の子女、配偶者の父母などの親族が対象)・中国在住の親族からの招聘状
・招聘者のパスポートコピー
・申請者と招聘者の家族関係を証明する公的な書類
▼長期留学ビザ(X1ビザ)
・現地受入先学校からの録取通知書(入学許可書)原本 + コピー
・外国留学人員来華査証通知表(JW202 または JW201)原本 + コピー
6. ビザ申請先を確認する
ビザをどこに申請するか決めます。申請先近くの方は自身で申請すると代理店手数料を抑えられますが、遠方の方などは代理店を通して申請した方が手間が省けます。
ビザの取得は2016年10月27日より中国ビザの申請先は中国大使館・総領事館から「中国査証申請サービスセンター」にて受付となりました。旅行会社の代理申請も可能です。中国大使館では指定旅行会社以外のビザ申請を受け付けていませんでしたが、この度の変更に伴い本人申請も可能になりました。ただ注意すべきは、中国大使館、大阪総領事館は一部の種類のビザを除き本人申請不可です。
▼東京ビザ申請センター
東京都港区虎ノ門4-1-17神谷町プライムプレイス8階
・業務時間
月曜日から金曜日まで(祝日除外)
・申請受付時間:午前9時から午後3時
・支払いと受取時間:午前9時から午後4時
・利用可能な申請種類:普通申請、緊急申請、特急申請
・所要日数:4営業日、3営業日、2営業日
▼名古屋ビザセンター
・利用可能な申請種類:普通申請のみ
・所要日数:6営業日
▼大阪府ビザ申請センター
大阪府大阪市中央区博労町三丁目3-7ビル博丈9階
・業務時間
月曜日から金曜日(祝日除外)
・申請受付時間:午前9時から午後3時
・支払いと受取時間:午前9時から午後4時
7. 筆者の苦労した経験から
以上中国ビザ取得についてご紹介してきました。中国のビザは種類も多く、複雑に感じられるかもしれません。ちなみに筆者は現在中国人親族訪問ビザ(Q2:2年マルチ180日滞在可能)を使用しています。
以下に筆者個人が経験したビザ取得にまつわる苦労と、注意点をまとめました。
・ビザの制度は定期的に変更される
中国ビザにかかるは定期的に変更されます。そのため、毎回更新する際には、もう一度調べるべきです。過去に取得した手続きと同じであるとは限りません。書類に不備があった場合、再度申請先に足を運ばなければなりませんし、ビザ取得所要日数、旅行スケジュールにも影響が出ます。
・疑問点は事前に問い合わる
あなた自身で申請する場合、インターネット上だけの情報に基づいて書類を用意するのではなく、少しでも疑問があったら事前に電話で問合せした方が確実です。筆者は、インターネット上にのっている以外の書類が必要で、その後高速バス往復5時間かけて補足の書類を提出しに行ったことがあります。
経験的に総領事館は業務が多忙であるためか、電話がなかなか繋がりません。新しく開設されたビザセンターの方が、電話も繋がりやすく、対応も親切です。
・小さなお子様の写真は事前に準備しておく
ビザセンターや総領事館にはインスタントの証明写真機が併設されています。大人はこれで撮影できますが、混雑している場合かなり待ち時間がかかります。小さなお子様がいらっしゃる方は、インスタント証明写真機で撮影でないので注意が必要です。
筆者は以前に大阪総領事館前の個人店舗内で子ども用の証明写真を撮影したところ、相場よりかなり高額の料金を要求されました(一人2800円)。事前に準備しておくことをお勧めします。
・代理店申請の注意点
代理店申請は費用が高くなってしまいますが、手間が省けます。注意点は自身で申請する場合も代理店を通して申請する場合も、書類の受領はビザ許可されることを保証するものではありませんので、費用を支払った後、申請したビザが却下されてしまった場合、申請費用は返却されません。そのため、経験の豊富な信頼できる代理店に依頼するべきです。
以前に大阪総領事館横の代理店を利用した際には、筆者が申請しようとしていたものより、より有効期限が長い、筆者個人の状況に最適なビザをお勧めしてくれました。
代理店の場合、店舗によって費用や経験知識にばらつきがありますので、新規の代理店を探す場合には、複数比較することをおすすめします。
・中国入国後香港、台湾、マカオに行った場合、出国扱いになる
中国から周囲の香港、台湾、マカオへ行く場合、中国から出国したことになるので注意が必要です。筆者は香港が中国に返還されたというニュースがあった為に、香港は中国の一部になったのかと思い、この誤解により5000元(日本円で約8万円)の罰則金を支払ったことがあります。
ビザには入国期限と滞在可能日数が決められていますが、もし一旦中国に入国してから香港に行き、再度中国に帰ってきた場合、中国国内の移動ではなく、2度目の入国という扱いになります。あなたが30日有効の一回入国Lビザを取得していた場合、そのビザは香港へ行った際に失効してしまいますので、2度目の入国には適用されません。
2度目の入国で適用されているのは15日以内のビザなし渡航です。そのため1回目の入国から30日以内に中国から出国したとしても、2度目の入国からの滞在期間が15日を超えていた場合、罰則金が発生します。
まとめ
上記の内容を整理すると、中国へ渡航する場合日本人は15日以内の観光等目的の場合ビザの取得は必要ありません。(注意点1参照)
もしあなたがビザを取得しなければならない時、まずはどのビザの申請条件に合致するか確認しましょう。個人的な状況は人それぞれ違いますので、少しでも分からない点があれば事前に問い合わせましょう。(注意点2、6参照)
あなたご自身で書類を準備して申請する場合、証明写真も含めて事前に用意しておいた方が良いです。自身で申請する場合、書類の訂正や追加の可能性も考えて地理的に便利な申請先に申請しましょう。遠方の方は代理店を通す方が手数料はかかりますが手間が省けます。
ビザ申請先の受領はビザ発行を保証するものではありませんので、却下されたり、希望のビザが発行されない可能性もあることに注意して下さい。旅行スケジュールは余裕をもって立てましょう。特に有効期限の長いビザや複数回入国できるビザは過去の中国への渡航記録や過去に取得したビザの実績が必要とされる傾向にあります。
中国に入国した後に近隣の香港、台湾、マカオに行きたい方は、出国扱いになる点に注意してください。これらの3つは地理的にも近く交通も便利で日本人はビザの取得も不用なため、気軽に行くことができますが、中国出入国管理上海外への渡航と同じ扱いになります。(注意点7参照)
中国のビザ取得!手続きで苦労しないための7つの注意事項!
1. そもそもビザが必要か確認する
2. どのビザを申請する必要があるのか確認する
3. ビザ取得までの日数を確認し計画を立てる
4. ビザ取得費用
5. 必要な書類を事前に確認する
6. ビザ申請先を確認する
7. 筆者の苦労した経験から