生活レベルが飛躍的に向上している現代中国。ここ10年で各業種の給料もかなり上昇し、多くの人々が高価な物を身に着け、週末はどこのデパートも混雑しています。きっと就職も比較的簡単だろうと思われがちですが、実際に現地のニュースを見たり、大学生の話を聞いたりすると、そう簡単にはいかないようです。
そこで今回は中国の就職事情と、日本との違い、外国人として仕事を探す際のポイント等をご紹介します。
中国で就職活動!日本と違う7つの就活ルール!
1. 昔も今も「就業難」!
中国で現代の社会問題を表すのに「三大難」という言葉がよく使われます。漢字の通り「三大社会問題」の意味で、「看病難、上学難、就業難」の三つ、つまり医療問題、就学(または進学)問題、そして就業問題が中国の抱える社会問題と言われています。
今はこれに「住房難」や「養老難」といった問題も加わり、中国人との会話では必ず出てくる話題となっています。「就業難」が社会問題となっているのを見ると、中国での就職活動も難しいことが分かります。
2. 中国の就業率は?
日本では大卒就職率が95%を超える高水準だそうですが、中国では政府機関の発表するところによると85%から90%の間とされています。2018年の新卒数は820万人であり、修士進学や海外留学する学生もかなり多いですが、それでも数十万人は就職先が決まらないというデータがあるなど、確かに「就業難」と言えます。
筆者の住んでいる地域にも全国的に有名な大学が二つあるのですが、「仕事が見つからないからとりあえず進学する」という学生や「これ以上進学するほど裕福ではないので、とにかく入れる会社に就職する」といった学生が多く、大学の専攻とその後の職業が全く異なるというケースが多々あります。それで「何のために勉強するんだろう」と嘆いている学生も多く見られます。
3. 中国の就職活動
就職活動のピークは毎年10月から翌年の1月頃と言われています。中国は日本と違い学校年度が9月から始まるため、また10月初めの国慶節と1月後半から2月初旬の春節の間にどの企業も募集を行なうため、基本的に大学4年の初めから就職活動を行ないます。その時期には会社説明会等も頻繁に行なわれ、就職活動がスタートします。
リクルートスーツで面接を受けるのが望ましいとされてはいますが、日本ほど厳しく言われることはなく、身だしなみで清潔な印象を与えるようにというアドバイス程度のようです。ただ、日系企業の面接を受ける場合は、事前に細かくチェックを受けてから望みます。
4. 中国の学生はインターンを活用
早ければ大学3年から、大学生の多くはインターンを活用して働き始めます。それでもその理由はお金のためでも、知識を身に着けるためでもなく、卒業後により良い仕事を見つけるためと多くの学生が考えています。つまりインターンで働いたことがあるという経験と実績のために活用するのがほとんどです。
中国で生活していると、様々な場面でインターンを意味する「実習」というプレートを付けた従業員を見かけます。
5. コネ社会と嘆く学生たち
大企業で働いたり、将来的に良いポストに就くために大切なのは、実力ではなくコネということを中国人はよく嘆いています。今ではだいぶ改善されてきたとも言われていますが、それでもよく「靠関係(カオグワンシー / コネに頼ってという意味)」という言葉を耳にします。
筆者の周りでも「父親の友人に○○という会社の幹部がいたから、うまく就職できた」という友人や、その反対に「筆記試験も良くできて、面接でもしっかり答えられたのに落とされたのは、コネがなかったからに違いない」と嘆く友人が結構います。知り合いの知り合いぐらいまでに何とか頼み込むというのが現実です。
6. 戸籍も重要ポイント
日本では同県や同地方出身ゆえに先輩から可愛がってもらえるということはあっても、出身がどこかで就職できないということはほとんどありませんよね。それが中国では、戸籍がどこの市にあるのか、また都市戸籍か農村戸籍か、ということが非常に重視されます。つまり、○○市の都市戸籍ではない方はお断りというようなことがよくあるのです。また戸籍の違いによって、試験の難易度が変わるということもあるそうです。
そのため、戸籍を移したいと考える地方出身者も多いのですが、北京や上海などの大都市ではその条件も厳しく設定されているので、取得自体難しい状況です。コネや戸籍に振り回されて不公平だという話をよく聞きます。
7. 外国人が中国で仕事を探すには?
中国で就職するための日本人向け求人情報を紹介しているサイトが幾つもあり、比較的探しやすいのでおすすめです。また一部の大都市では日本人向けにフリーペーパーが発行されていて、その中でも求人情報が載せられています。
また、外国人であってもやはり大切なのがコネ。筆者も仕事上の付き合いがある人たちから、仕事のできる日本人を紹介してほしいと言われることが多々あります。実際それで働き始めた日本人も周りに何人もいます。
注意点はビザの有無で、基本的に就労ビザを出してくれるところがほとんどですが、中には就労ビザを出さないというところもあり、今はビザが以前より厳しくなっているので、その確認が必要です。
なお、中国のビザについては以下に詳しくまとめていますので、こちらもぜひ読んでみてください。
まとめ
今回は中国の就職事情についてご紹介しましたが、いかがでしたか?
就職活動もそうですが、実際に働き始めると習慣や文化の違いをより一層感じ、戸惑うこともありますが、興味深いことも多々あります。特に中国に関心をお持ちの方でしたら、短期間でも中国で働いてみると面白いですよ。
中国で就職活動!日本と違う7つの就活ルール!
1. 昔も今も「就業難」!
2. 中国の就業率は?
3. 中国の就職活動
4. 中国の学生はインターンを活用
5. コネ社会と嘆く学生たち
6. 戸籍も重要ポイント
7. 外国人が中国で仕事を探すには?