物事の勝敗を決めるのにとても便利なじゃんけん。中国では「猜拳 / ツァイチュエン」と呼ばれ、日本とほぼ同じように使われています。じゃんけんには中国起源、日本起源の両説ありますが、フランスの文献に「日本の遊び」と紹介されていることから欧米諸国には19世紀に日本から伝わったというのが定説です。では中国のじゃんけんの起源はどのようなものでしょうか。
今回は、中国在住歴6年の筆者が中国のじゃんけんの掛け声やルール、どんなときに使うかなどを詳しくお伝えします。
中国のじゃんけんルール!在住経験者に聞く7つの特徴とは?
1. 中国のじゃんけんの起源
中国のじゃんけん「猜拳 / ツァイチュエン」の語源は、昔の手遊びである「拳遊び(けんあそび)」の一種であると言われています。ですがその内容は現在のじゃんけんとはまったく違うものでした。
昔の「猜拳」は2人が同時に手を前に出しながら指で0~5の数字を作り自分と相手の指の合計数を当てるゲームで、おもに宴席などで楽しまれていました。ちなみに現在のじゃんけんのルールは、グー、チョキ、パーの3つにそれぞれ強弱関係がある「三すくみ」で勝ち負けを決めるもので、これは中国でも同じです。
日本には平安時代から「虫拳(むしけん)」という拳遊びがあり、この「三すくみ」を使って勝敗を決めました。親指をカエル、人差し指をヘビ、小指をナメクジにたとえ、ヘビはカエルに、カエルはナメクジに、ナメクジはヘビに勝つというもので、この「虫拳」をシンプルにわかりやすくしたものがじゃんけんだと言われています。
経緯ははっきりしませんが、長い歴史のなかで中国の「猜拳」や日本の「虫拳」など古来からの手遊びが混ざり、今のじゃんけんを作っていったのではないかと言う説もあります。
2. グー、チョキ、パーの言い方は?
日本ではグーが石、チョキがハサミ、パーが紙ですね。中国語も基本的には同じで、グーは「石头 / シートウ / 石」、チョキは「剪刀 / ジェンダオ / ハサミ」ですが、パーだけは紙でなく「布 / ブー」と言います。ここだけ日本語と違うのがおもしろいですね。
ちなみに韓国は「ハサミ、岩、風呂敷」なので中国寄りと言えるかもしれません。欧米諸国のじゃんけんは日本から伝わっているので「Rock, Pepar, Scissors(石、ハサミ、紙)」の掛け声が使われていて、各国のじゃんけん事情が垣間見えます。
3. じゃんけんをやってみましょう
中国人はじゃんけんを始めるときに「最初はグー」や「出さなきゃ負けよ」のような決まり文句を使いません。ではなんというかというと
「我们剪刀石头布吧 / ウォメン ジェンダオ シートウ ブー バ / じゃんけんしよう」
と言って始めます。そして「じゃん、けん、ぽん!」のリズムで
「ジェンダオ、シートウ、ブー!」
と言い「ブー!」のところで手を前に出します。
ちなみに地域によっては「シートウ、ジェンダオ、ブー!」の順番で言うこともありますが、最後が「ブー」であることには変わりありません。
4. あいこのときや、勝ち負けの言い方
あいこは「平手 / ピンショウ」と言います。ただ日本語の「あいこでしょ」にあたる掛け声はなく、勝負が決まるまでひたすら「ジェンダオ、シートウ、ブー!」「ジェンダオ、シートウ、ブー!」と繰り返します。日本語よりもシンプルですね。
じゃんけんで勝敗がついたときは「我赢了(ウォ イン ラ/勝った)」「我输了(ウォ シュー ラ/負けた)」と言ってみましょう。
5. どんな時に使うの?
筆者はすでに大人だったためか、中国人とじゃんけんをした記憶がほとんどないのですが、中国の子供たちのあいだでは日本の子供たちと同じようにじゃんけんが使われています。
中国在住歴11年の教育関係者である知人に聞いたところ、現地の小学校では子供たちが遊びの中で何かを決めるときにじゃんけんが使われていたそうです。また子供向けのイベントでキャラクターと子供たちがじゃんけんを楽しんでいるシーンを見た話をしていた知人もいました。日本同様、じゃんけんは日常生活に溶け込んだ文化のようです。
なお、中国の小学校については、以下の記事で特集していますのでこちらもチェックしてみてください。
6. 中国の足じゃんけん
日本には足を使ったじゃんけんもありますよね。グーは足を閉じる、チョキは足を片方ずつ前後へ開く、パーは両足を広げる。「じゃんけん」と言いながら2回ジャンプして「ぽん」で足の形を決めて着地します。
地域にもよりますが、中国にも同じように足じゃんけんがあります。また、足を出すリズムは日本と同じで、「ジェンダオ、シートウ」でジャンプし「ブー!」で足の形を決めます。足のポーズは日本のじゃんけんと同じバージョンもあれば、チョキを前後ではなく両足をクロスしたポーズにしたり、グーを足を閉じるのではなく内股にしたりするバリエーションも見られます。
7. 夜の(?)じゃんけん遊び
中国ではバーなどお酒の席で、じゃんけんを使ったゲームをすることもあります。歌に合わせてじゃんけんをし、勝った人と負けた人がそれぞれ決まったポーズを取ったり、決まったセリフを言ったりします。日本の「あっち向いてホイ」に近いゲームと言ったらわかりやすいかもしれません。
軽快なリズムに合わせ勝ち負けを即座に判断し、ちゃんとポーズをとったり間違えずにセリフを言えるかどうかを競い、負けたらお酒を飲まなければいけないので真剣勝負になります(笑)!
有名なところでは「傻瓜拳 / シャーグァ チュエン / バカじゃんけん」「小蜜蜂 / シャオミーフォン / ミツバチ」などがあります。興味のある人はぜひ調べてみてくださいね。宴席にゲームが取り入れられるのはどこの世界でもありそうですが、じゃんけんが使われているところに親近感を覚えます。
まとめ
いかがでしたか?
中国のじゃんけんも日本と同じように子供たちが遊びの中で勝ち負けを決める目的や、ゲームのツールとして使われていて、様々な形で日常生活で見られるようです。
チャンスがあればあなたもぜひ記事で紹介した掛け声「剪刀石头布(ジェンダオ シートウ ブー)」を試してみてくださいね!誰もが子供のときから知っている親しみやすい手遊びなので、盛り上がって一気に相手との距離が縮まりますし、きっと喜ばれると思いますよ!
中国のじゃんけんルール!在住経験者に聞く7つの特徴とは?
1. 中国のじゃんけんの起源
2. グー、チョキ、パーの言い方は?
3. じゃんけんをやってみましょう
4. あいこのときや、勝ち負けの言い方
5. どんな時に使うの?
6. 中国の足じゃんけん
7. 夜の(?)じゃんけん遊び