日本の高校に相当する中国での義務教育は「高級中学 / ガオジージョンシュエ」です。この高級中学は日本の高校と同じ3年制ですが、言語や文化の違いを筆頭に、日本と異なる部分も多くあります。
そこで今回は、中国在住歴10年以上、現地で4児の子育て中である筆者が中国の高級中学についてご紹介していきます。
中国の高校事情!在住者に聞く7つの特徴!
1. 日本の高校に相当するのは中国の高級中学
中国の教育体系は、小学、中学、大学の三段階に分けられます。
日本の高校に相当するのは、この高級中学の部分で、口語的には「高中 / ガオジョン」と呼ばれます。高級中学は9年間の義務教育の範囲外ではあるものの、大部分の初級中学卒業者が進学する、中国でもポピュラーな教育機関です。
中国における高級中学は大学進学につながる重要な教育課程として捉えられています。人口の多い国、中国では高級中学校の数とその生徒数も日本とは桁違いです。2016年度のデータによると、中国では約2.47万校の高級中学校があり、在校生徒数は約3,970万人です。
ちなみに、平成30年5月の文部科学省のデータによると、日本の高校生徒数は約322万人ですので、中国では日本の12倍以上の数の生徒がいることになります。
なお、中国の小学校については以下の記事で詳しく紹介していますので、こちらも合わせて読んでみてください。
2. 中国の高級中学の種類
初級中学の卒業前には、高級中学進学に向けての試験があります。その試験は、「初中学业水平考试(The Academic Test For The Junior High School Students)」、略して「中考 / ジョンカオ」です。この試験成績によってどの高級中学に進学するかが決まります。
高級中学の種類には、「普通高中(普通高級中学)」、「成人高中(成人高級中学)」、「职业高中(職業高級中学)」、「中等专业学校(中等専門学校)」、「中级技工学校(中級技工学校)」、「中等师范学校(中等師範学校)」などがあります。これらの学校の区別に加えて、公立、私立の区別もあります。
3. 義務教育ではないので学費等の費用を支払う必要がある
初級中学とは違い、義務教育ではない高級中学では、自身で学費等の費用を支払う必要があります。しかしながら、日本よりも貧富の差の大きい中国社会では、2009年より中国国内一部の貧困地域に対して、高級中学学費無料の政策が開始されています。
公立校では、地域にもよりますが、一般的に年間1000〜2000元の学費がかかります(2019年10月現在のレートで約15,000円〜30,000円)。学費以外にも教科書代や寮費、食費等諸費用がかかります。教育に必要な費用が高くなる点も義務教育課程との大きな違いです。
4. 中国の高級中学生徒はほぼ全くアルバイトをしない
日本では、高校生の年齢であれば、放課後や週末にアルバイトをしている生徒も少なくはないですが、中国の高級中学生徒は全くと言っていいほどアルバイトをしません。
筆者は中国に在住して10年以上になりますが、大学生のアルバイトは見たことがありますが、高級中学生のアルバイトには出会ったことがありません。学生の多くは、放課後にスポーツをしたり、自室や図書館で勉強したりしています。
なお、中国では習い事をすることがとても浸透しています。以下の記事では現地の習い事の実情を詳しく特集していますので、こちらも合わせて読んでみてください。
5. 学歴化が進む中国
現在では多くの学生が高級中学へと進学し、その後大学受験をした学生のうち大部分が大学へ入学していますが、過去に遡ると、今ほど中国国民の学歴は高くはありませんでした。1952年では中国における大学進学者の数は約6.6万人だったのに対して、2012年では約685万人が大学に入学しています。60年の間に大学進学者数は100倍以上になったことになります。
筆者の知人の現在56歳、農村出身の中国の方によると、子どもの頃小学校に行くことができる子どもは限られていたそうです。そのため同年代の人の中には今でも中国語のピンインが使用できない方もいるそうです。
ちなみに中国語のピンインとは日本語のローマ字のようにアルファベットを用いて漢字の発音を表すものです。さらに声調を表す四声の記号を加えることで、どのように発音するかを示します。発音が同じでも、声調が異なると全く別の意味になることもあるので、正しく覚える必要があります。
急速に発展の進む中国ですが、教育環境の大きな変化も特徴の一つです。
なお、中国の就職事情については以下の記事で解説されていますので、こちらもぜひ一読してみてください。
6. 高級中学三年生時には「高考 / ガオカオ」を受験する
高級中学三年生時には「高考 / ガオカオ」と呼ばれる大学受験を受験することができます。正式名称は「普通高等学校招生全国统一考试(The National College Entrance Examination)」です。この試験の成績によってどの大学に進学するかが決まります。
中国の大学ランキングでは「北京大学(ベイジンダーシュエ)」、「清华大学(チンファーダーシュエ)」など有名校が毎年高い位置につけています。
なお、中国の大学については以下の記事に詳しくまとめていますので、こちらもぜひ一読してみてください。
7. 多くの高級中学で寮がある
日本では寮がある高校はそれほど一般的ではありませんが、中国では寮付きの学校が日本よりも多いのも特徴です。
筆者の子どもがかつて通っていた私立の学校は幼稚園から高級中学生までの一貫校で、満3歳児の年少組から寮を利用できます。この学校のように幼稚園から寮がある学校は中国でも多くはありませんが、初級中学、高級中学と、学年が上がるとともに寮付きの学校も多くなります。高級中学の年齢であれば、学校付属の寮で生活をすることも一般的です。
まとめ
いかがでしたか?
中国の高級中学について理解が深まったかと思います。人口の多い中国では学業面での競争も熾烈です。また学歴を重視している家庭も多く、ご紹介したような北京大学や清華大学等の名門校への入学を目指して幼少の頃より勉強に力を入れている家庭が多いのも特徴です。
その他にも高級中学卒業後海外へ留学する学生も比較的多く、人気があるの留学先はアメリカやイギリスなどです。日本とは違う教育環境になりますので、中国に移住する方はこの記事を参考にしてしっかり準備してくださいね。
中国の高校事情!在住者に聞く7つの特徴!
1. 日本の高校に相当するのは中国の高級中学
2. 中国の高級中学の種類
3. 義務教育ではないので学費等の費用を支払う必要がある
4. 中国の高級中学生徒はほぼ全くアルバイトをしない
5. 学歴化が進む中国
6. 高級中学三年生時には「高考 / ガオカオ」を受験する
7. 多くの高級中学で寮がある