日本と同様、中国にもお葬式に参列する際のマナーが存在します。実際に参列する時になってあわてないよう、基本的なマナーについては事前に押さえておきたいですよね。特に、弔事の場合には、万が一にも失礼があってはいけません。とはいえ、外国人である日本人が中国の葬儀に急に参列することになっても、戸惑ってしまうことが多々あるかと思います。
そこで今回は、中国で葬儀に参列する際に覚えておきたいマナーをご紹介します。参列する際の服装や香典についてなど、いざという時に慌てないよう事前に知識を身に付けておきましょう。
中国の葬式マナー!参加前に知っておくべき6つの注意事項!
1. 中国人の死に対するイメージ
まず、中国人の死生観について、最初に触れたいと思います。
中国の方の多くは「死をタブー視」している印象があります。例えば、数字の4(中国語ではスーと発音)が「死(スー)」と似た発音のため、建物の階数や車のナンバーなどで4を避けたりすることがあります。中国の方は日本人以上に縁起について気にする傾向があるため、このように、「死は不吉なもの」という風に捉えるようです。
また、中国では、「あの世に行っても先祖の魂は現生と同じように生き続ける」という考え方が一般的です。そのため、先祖が冥界で使う用のお金や薬、紙で作られた家などもお墓にお供えします。これらは燃やして使うのが一般的でしたが、現在では大気汚染や火災のリスクから、燃やすことが禁止されている都市もあります。
2. 葬儀に関する流れ
誰かが亡くなった場合は、下記の流れで葬儀が行われることが一般的です。
1.「殯儀館(ビンイーグァン)」という遺体が安置されている斎場に行く
2. そこで告別式を行う
3.ご遺体を火葬する
4.お骨を墓地に埋葬する
1~4の流れは、亡くなられてから概ね3日の間に行われます。ちなみに、中国の多くのお葬式は宗教色がありません。そのため、お焼香をするのではなく、故人の前で三礼するのが一般的です。なお、その際、普通のお辞儀で良いのか、ちゃんと跪き、頭を床に付けて礼をする必要があるのかは、地域によっても大きく異なります。同じく参列している周りの方に合わせて行うのが一番安心でしょう。
なお、葬儀への参列ですが、病人やケガ人、また結婚や出産後100日を経過していない人は、出席しない方が良いと言われています。
3. 葬儀に参列する際の服装
日本では、葬儀に参列する際の服装は、喪服です。男性・女性問わず、黒で統一した服や小物を身に付けるのが一般的です。別に法律で決まっている訳ではありませんが、社会的な慣習として、日本人は厳格にそれを守っています。
しかし中国では、葬儀に参列する際の服装についてそこまで厳しく決まっている訳ではないようです。参列時にジーンズを着用している方も珍しくはありません。とはいえ、あまりにも場違いな服装をしてはいけません。白や黒など、落ち着いた色合いを選ぶのが無難でしょう。
また、白や黒以外にも、青や灰色を使用しても良いことになっています。もしどうしても心配であれば、中国人の知人について、聞いてみるのも一つの手かもしれません。また、派手なアクセサリーを付けるのも慎みましょう。
4. 香典について
中国にも香典を渡す習慣があります。包む金額は必ず奇数でないといけません。また、割り切れないよう、501元のように、末尾に1元を足すとされています。中国語では、偶数のことを「双数(シュアンシュー)」、奇数のことを「単数(ダンシュー)」と言います。つまり、奇数にするのは「これ以上悪いことが重ならないように」という思いが込められているのです。ちなみにですが、結婚式のご祝儀は偶数が良いとされています。
また、お金を包む際ですが、必ず白い封筒を使います。専用の物も販売されていますし、普通の白い封筒を使っても差し支えありません。ただ、間違っても、結婚式などで使われるご祝儀袋は使用してはなりません。
なお包む金額の相場ですが、これは地域によって大きな差があります。100元以上でないといけない、という地域もあれば、逆に100元以下でないといけない、という地域もあります。そのため、実際に香典を準備する際には、一緒に参列する方に聞いた方が確実だと思います。
5. 中国の葬儀の特徴
中国ならではの特徴として、「宗教色が薄い」ことが挙げられます。日本では仏教徒が多いため、葬儀の際はお坊さんを呼んで読経してもらうのが一般的ですが、中国ではそのようなことは通常ありません。したがって、参列者が数珠を用意する必要もありません。
また、日本ではお葬式と言えば黒といったイメージですが、中国では、どちらかというと白を基調にしている印象があります。遺族が白い伝統的な喪服を着ていたり、「挽联(ワンリェン)」と言って、哀悼の言葉が書かれた垂れ幕のようなものも、白字に黒の文字が描かれています。
また、故人への愛情やその人を失った悲しみを表すために、「泣き女」を雇ったりするのも、中国ならではの特徴をと言えます。
6. 中国の墓地について
最後に、中国の墓地の特徴についてご紹介したいと思います。中国の墓地というのは、基本的に都市の郊外にあります。また、かなり集約的で、大規模な墓地が都市の周辺にいくつかある、という形になっています。街のど真ん中に霊園がある、ということはまずありません。そのため、日本の青山霊園のように都心の一等地に広大な墓地が広がる光景や、人家のすぐ近くに墓地がある様子などは、中国人の目からすると、かなり不思議な光景に映るようです。
なお、中国のお墓参りは、毎年春に行われる「清明节(チンミンジエ)」と呼ばれる祭日に行うのが一般的です。日本で言えば、春のお彼岸のようなものです。この日には、お墓をきれいに掃除して、先祖の供養を行います。ちなみにですが、この「清明节」は旧暦で見るため、毎年日付が変わります。火葬された後、この「清明节」の時期に合わせて、墓地に埋葬されることもあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
上記でご紹介したマナーはあくまで一般論です。というのも、広大な国土を有する中国では、地域によって、多種多様な文化があるからです。都市部と農村部でも、その習慣は大きく違います。また、中国は漢族以外にも55の少数民族がいます。そのため、民族によっても、葬儀を行う際の伝統なやり方は違います。今回上記に書いたマナーは、都市部に住む漢族の間で一般的な葬儀を想定してご紹介しました。
実際に参列する際は、一緒に参列する中国人の方にやり方を尋ねるのが、一番確実な方法になります。上記で見てきたように、日本とは少し違う部分もあります。しかしながら、人の死を悼み、悲しむ気持ちは、やはり万国共通です。もし葬儀に参列する場合は、最低限のマナーを守って、ご遺族の悲しみにそっと寄り添えると良いですね。
中国の葬式マナー!参加前に知っておくべき6つの注意事項!
1. 中国人の死に対するイメージ
2. 葬儀に関する流れ
3. 葬儀に参列する際の服装
4. 香典について
5. 中国の葬儀の特徴
6. 中国の墓地について