中国ではいつ、どのように年末を過ごし、新年を迎えるのでしょうか?日本では大晦日から元旦にかけて年越しイベントがあり、元旦に新年を迎えますが、実は中国とっての新年は、日にちも、過ごし方も日本とは異なります。
筆者は中国に10年以上在住しており、これまで何度も中国の新年を過ごしてきました。今回は、中国の年末と新年のイベントや過ごし方、注意事項、おすすめの観光場所についてご紹介していきます。
中国人は年末どう過ごす?在住者に聞く7つの現地事情!
1. 中国の新年はいつ?
日本のお正月は毎年1月1日、元旦ですが、中国では旧暦の春節に新年を迎えます。なので、新暦のカレンダー上では毎年月日が違うということになります。例えば、2019年の春節は、新暦の2月5日でしたが、2020年では1月25日が春節になります。このように中国では現在でも旧暦を用いる習慣が多く残っています。普段仕事や学校で使用しているのは日本と同じ新暦です。
中国では春節の前日のことを「除夕 / チューシー」と呼びます。この日はいつもは都会に住んでいる人もはるばる故郷に帰り、家族や親しい友人と賑やかに過ごすのが定番です。日本の大晦日と比べると中国の除夕はかなり賑やかです。花火や爆竹がなり響き、街は赤い色や新年の干支の図柄で飾りつけられます。
ただ、近年では、特に都市部で、安全上の理由から爆竹や花火の使用が規制されていますので、使用には注意が必要です。
中国の新年については以下の記事で詳しくまとめていますので、こちらもぜひ一読ください。
2. 中国の年越しイベント
日本の大晦日には除夜の鐘や紅白歌合戦など様々な恒例年越しイベントが開催されますが、中国の除夕のイベントとして有名なのが、中央广播电视总台(CCTV)が放送する「春节联欢晚会 / チュンジエリエンファンワンフォェイ」です。家族や親しい友人同士で集まり、年夜饭(ニェンイエファン)や团圆饭(トゥアンユェンファン)と呼ばれるみんなで食べる年越しの料理を、春节联欢晚会を見ながら楽しみます。
また日本にお年玉の習慣があるように、中国でも年越しに際して、年長者が年少者にお金を送る習慣があります。赤い小さな封筒、红包(ホンバオ)に入れて渡されるこのお金を送ることで、邪悪な祟りから身を守り、無事に新しい一年を過ごすことができると考えられています。
金額は自由ですが、中国でも日本と同じように「死」と同音である4が嫌われる傾向にあるので、4のつく金額は避けましょう。逆中国で好かれている数字は6と8です。中国の紙幣で一番大きい金額が100元なので、100元札を一枚以上入れる人が多いです。
詳しい正月の風習についてはこちらでも紹介していますので、合わせて読んでみてください。
3. 年越しに玄関に貼ろう!对联(ドゥイリエン)
日本では年越しの際にしめ縄や鏡餅が飾られますが、中国では对联(ドゥイリエン)と福字(フーズ)、红灯笼(ホンドンロン)で家を飾る習慣があります。
对联とは細長い赤い紙に黒や金色の文字で、家族の健康や商売繁盛、家内安全と言った願い事が書かれており、二枚セットになっています。この二枚を玄関や裏口のドアの両端に貼ります。スーパー等小売店でも印刷したものが売られていますが、自分で書いてもオリジナリティのある味わい深い对联が出来上がります。对联は毎年一回、年末に新しいものに貼り変えます。
4. 逆さまにして貼る福字(フーズ)
福字とは名前の通り「福」という字のことです。4辺の長さの等しい赤い菱形の紙の中央に黒や金色で福という文字が書かれており、家の出入り口のドア中央のやや高い位置に貼るのが一般的です。
この際に福という字を逆さまに貼ることがありますが、これは中国語の「福倒了(フーダオラ:福が逆さまになっている)」という意味の言葉が、「福到了(フーダオラ:福がやって来た)」という意味の言葉と同音であることによる縁担ぎです。この福字も一年に一回、年末に貼り替えます。
5. 赤いライトが中国らしい雰囲気をかもし出す、红灯笼(ホンドンロン)
红灯笼(ホンドンロン)も年越しから新年にかけての定番アイテムの一つで、赤い提灯のことです。二つ対になっており、ベランダや出入り口に飾ります。新年以外の時期でも飾ったままの家庭もたくさん見かけますが、ショッピングセンターや街頭では年末から新年、年明け数日後まで飾られます。
年末になると多くのお店で売られており、様々なサイズや、提灯の中にライトが入っているもの、電動でくるくる回るものなど種類も豊富なので、お気に入りを選んでみてくださいね。
ちなみに、红灯笼もそうですが、中国人は赤い色が大好きです。中国の国旗も赤で、幸運を呼ぶラッキーカラーとして扱われています。一方お葬式等で使用されるのは白です。年越しパーティーや結婚式などおめでたい場に招待された時には白い服はあまり着ないように気を付けましょう。赤を始め、華やかな色の方が好まれます。
6. 年末年始は交通事情に注意!
年末から新年、年明け数日中にかけては13億人以上いるとされる中国人の大移動があります。仕事や学校での勉強のために都市部に出ている人々が、次々と故郷へと帰省します。この帰省ラッシュのことを特に春运(チュンユィン)と呼び、渋滞や各交通機関のチケットの売り切れ、価格の高騰などが発生します。
中国に行くならこの春运を避けるのが無難です。どうしても中国で新年を迎えたい方は、年末よりやや早めに入国し、新年後しばらくゆっくり過ごしてから日本に帰国するという風に、春运のピークを避けて旅行の手配をする方がよりお得に快適に交通機関を利用できます。
ビジネス目的で中国に行く方も、春節の時期は多くの行政機関や会社がお休みに入るので、この時期は避けてスケジュールを立てた方が仕事もスムーズに進みます。
7. 年末から新年にかけてのおすすめ観光スポット
普段は都市部に住んでいる多くの人々が地方都市に帰省するので、逆に都市部の人口密度は減少します。そのため都市部はいつもよりガランとした印象で、普段は込み合っているショッピングモールの混雑状況も改善されます。
筆者はアモイ市(厦門市)という沿岸部の経済特区に住んでいますが、毎年年末から新年にかけてはいつもより静かで、人や車が少ない快適さを味わうことができます。なので、中国の年末から新年にかけては、いつもは混んでいて行きにくい都市部の人気スポットに足を運んでみてはいかがでしょうか。
しかし、注意が必要なのは、新年が過ぎ数日経つと、春節のお休みを利用して観光に出かける人が増えてくるので、観光地は混雑し始めます。
なお、アモイ市のおすすめお土産については以下で特集していますので、ぜひチェックしてみてください。
まとめ
いかがでしたか?
中国と日本との違いや、中国の新年の迎え方、注意事項などがお分かりいただけたかと思います。日本と比べて中国の年越しはとても華々しく、賑やかです。またご紹介した对联や红灯笼、福字などは日本にはない習慣なので、中国にいらした時は是非チェックしてみてくださいね。
今回ご紹介した中国の新年、春節以外にも5月の労働節や10月の国慶節などでも交通の混雑や航空券、宿泊費用の高騰が生じます。中国への旅行を考えている方は、これら中国国内の公休日を避けた方が安く快適に旅行できます。是非一度中国にいらしてみてくださいね。
中国の休日については以下で全て解説していますので、こちらも旅行前に確認してみてください。
中国人は年末どう過ごす?在住者に聞く7つの現地事情!
1. 中国の新年はいつ?
2. 中国の年越しイベント
3. 年越しに玄関に貼ろう!对联(ドゥイリエン)
4. 逆さまにして貼る福字(フーズ)
5. 赤いライトが中国らしい雰囲気をかもし出す、红灯笼(ホンドンロン)
6. 年末年始は交通事情に注意!
7. 年末から新年にかけてのおすすめ観光スポット