イースターは欧米ではとてもメジャーな行事です。ところが、日本では仏教徒が多いこともあって、あまり馴染みが無い方が多いかと思います。では、同じアジアの国、中国ではイースターはメジャーな行事なのでしょうか?また、祝うとしたら、どのように祝うのでしょうか?
ここでは、中国に長年住んでいた筆者が中国のイースター事情についてご紹介します。イースターはキリスト教の行事ですが、そもそも中国でキリスト教徒は多いのかも含めて解説していきますので、最後までどうぞご覧ください。
中国のイースター特集!在住経験者に聞く7つのおもしろ特徴!
1. イースターってそもそも何?
イースターといきなり言われても、何をする行事なのかピンと来ない方も多いかもしれません。そこで、まずここで、イースターとはどのような行事なのかからご説明したいと思います。
中国語でイースターは「复活节(フーフオジエ)」と言います。日本語の漢字で書くと、「復活祭」。その名が示す通り、イースターは、イエス・キリストが十字架にかけられて亡くなってから、3日後に復活したことを祝うものです。キリスト教徒の方にとっては、クリスマスと同じくらいか、それ以上に大切な行事となっています。
ちなみに、クリスマスは毎年太陽暦の12月25日に行われるのが一般的ですが、このイースターが行われる日というのは、毎年決まっていません。というのも、「春分の日の直後の満月から数えて最初の日曜日」と定義されているからなのです。また、カトリックやプロテスタントなどの教派が属する「西方教会」と、ロシアやギリシャなどで多く信仰されている「東方正教会」とでは、採用している暦が違うため、行われる日も異なります。
2. イースターには何をするの?
2019年のイースターは4月21日です。が、その日だけ祝うのではなく、イースター休暇といって、その前後3~4日間がお休みになる国が多いようです。
クリスマスにはクリスマスツリーが付き物のように、イースターに欠かせないモチーフと言えば、卵とウサギ。卵は、「生命」や「復活」の象徴であり、カラフルにペイントした茹で卵を庭に隠し、それを子ども達が探す遊び「エッグハント」などが有名です。また、ウサギは子どもをたくさん産むことから、これも「生命力」や「繁栄」を象徴しており、イースターの時期には、ウサギの形をしたチョコなどが出回ります。
また、この時期は多くの国で春を迎えることから、イースターは春の訪れを告げる行事ともなっています。
3. 中国でキリスト教徒は多いの?
東アジアの国々では、あまりキリスト教徒が多いイメージはありませんが、実際のところはどうなのでしょうか?
中国のキリスト教徒の数については諸説あり、きちんとした統計が公表されている訳ではありませんが、現時点で少なくとも7000万人から1億人の信者がいるとみられています。現在の中国の人口が13.9億人ですから、全人口の5~7%がキリスト教を信仰していることになります。
日本のキリスト教徒の割合が1%程度と言われていますから、日本よりは信仰している人の割合が多いことになります。
4. イースターは中国で一般的?
では、イースターが中国で一般的なのかというと、決してそうではありません。筆者の知人の中国人の方にも聞いてみましたが、信者以外にも浸透しているクリスマスのような行事とは違って、イースターは特に何もしないとのことでした。
クリスマスやハロウィンなどのイベントは商業性があるため、企業もこぞってムードを盛り上げたりしますが、イースターにおいては、特にそのようなこともありません。つまり、イースターは、中国では文化として浸透していません。
5. 中国のイースターは、どこで行われているの?
ただ、中国本土では特に法定祝日になっていないイースターですが、香港では事情が違うようです。香港は1999年に、イギリスの植民地から中国に返還されました。そのため、現在でもイギリス統治時代の名残を受け、イースターを祝う伝統が残っています。香港では、日曜日に行われるイースターを挟んだ、金曜日から月曜日までの4日間が、法定祝日となっています。
また、中国各地に存在する「国际学校(グオジーシュエシャオ)/インターナショナルスクール」でも、子ども達のためにイースターパーティーが開かれたり、子ども達や保護者が課外での活動に参加したりといった、イースター関連のイベントが行われています。また、上記以外にも、香港や上海にあるディズニーランドでも、イースター関連のイベントが行われています。
6. 中国版イースター①【启蛰(チージャー)】
キリスト教徒のお祭りとしては浸透していないイースターですが、春の訪れを告げる中国版イースターとしては、「启蛰(チージャー)」があります。
日本では「啓蟄(けいちつ)」と呼ばれていますが、これは中国発祥の思想である二十四節季の一つで、太陽暦に換算すると、毎年3月上旬から中旬頃にあたります。大地が徐々に温まり、虫たちが地上に這い出して来るのが、この啓蟄の頃です。この頃から段々と温かくなってくるため、冬の終わりと春の訪れを感じる節目の時期となっています。
7. 中国版イースター②【清明节(チンミンジエ)】
上記でご紹介した「启蛰(チージャー)」以外にも、中国版イースターとも言える春の訪れを告げる行事として、「清明节(チンミンジエ)」が挙げられます。この清明節は、太陰暦で数えるため、毎年日付が変わりますが、大体4月頃にあたることが多いです。
この日には、先祖のお墓参りに出かけ、お墓を掃除して、先祖の供養を行います。そのため、別名「扫墓节(サオムージエ)」とも言われています。この「清明节(チンミンジエ)」の際には、企業や学校は例年3日間のお休みとなります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
筆者自身、イースターにあたる時期に北京に滞在した経験がありますが、街中の商業施設などでも、大々的に特集されているのを見たことがありません。中国人の知人の話を聞いても、イースターについては、皆さんそこまで詳しくないようです。
中国では、キリスト教徒は合計信者数の面から見れば、決して少なくありません。しかしながら、中国では、共産党政権が宗教に対してあまり寛容でないということもあるせいか、イースターはそこまで大々的に祝われている訳はないようです。
もし中国でイースターの気分を味わいたいなら、その時期に香港に行ってみるのも良いかもしれませんね!
中国のイースター特集!在住経験者に聞く7つのおもしろ特徴!
1. イースターってそもそも何?
2. イースターには何をするの?
3. 中国でキリスト教徒は多いの?
4. イースターは中国で一般的?
5. 中国のイースターは、どこで行われているの?
6. 中国版イースター①【启蛰(チージャー)】
7. 中国版イースター②【清明节(チンミンジエ)】