筆者は家族で中国に駐在経験があり、筆者も家内も現地で入院した経験があります。特に家内はクモ膜下出血という重篤な病で入院し手術したので、一ヶ月半の長きに亘り、また筆者も病院に篭って一緒に闘病を支えた経験を持っています。外国人用の病院が無い都市での入院でしたので、現地大学病院に入院し、壮絶な体験をしております。
一方、筆者は椎間板ヘルニアの手術で、外国人専用病院に入院し手術をしました。家内の病院とは全く違う快適な環境で、日本の病院とは余り差の無い入院生活でした。
そこで今回は、両方の経験から、知りうる限りの中国病院事情についてご紹介致します。
中国の病院事情!診察前に知るべき7つの注意事項!
1. 総合病院しかない中国の病院事情
筆者既著の以下の記事でも述べましたが、中国には日本で言う町医者さんと呼ばれる民間病院や診療所がありません。全て大規模な総合病院になるため、気軽に診察してもらう事ができません。
また、人口に比して病院の数が極めて少ないので、どの病院も毎日込み合っているというのが現状です。さらには、一般的に病院は外国語対応をしていませんから、中国語がままならない外国人が診察を受けたり、入院するのは基本的に避けるのが得策です。
日本人の我々が中国で病院に行かなければならない場合は、外国人専用病院、中でも日本語対応可能な病院に行かれる事をお勧め致します。
2. 大都市と地方で違う外国人の病院事情
中国の病院事情をご説明する際には、二つのケース別にご説明する必要があります。
ひとつは、冒頭ご紹介しました筆者の家内のケースの様に、外国人専用病院が無い場合の対応です。この場合は、中国の病院に行かざるを得ません。
二つ目は、北京や上海などの様な大都市のケースで、外国人専用病院がある場合の対応です。こちらの場合は、基本的に日本で病院に行くのと同様に診察してもらう事が可能です。
この様に、同じ中国とは言っても、対外開放された大都市と、地方都市では、病院の事情が違う点を、先ずご理解しておかれて下さい。
3. 地方都市の場合に知っておいて欲しい病院事情
先ず最初に、外国人専用病院が存在しない地方都市で病院に行かなければならない場合のポイントをご説明しておきます。つまり、中国の一般市民と同じ病院に行く場合の対応ということです。
まず日本との大きな違いは、先にお金を払う必要があるという点です。病院に行かれたら、先ず外来受付で受付を済ませますが、その際に門診料を支払います。日本で言う初診料の様な料金ですが、大体数十元程度ですから驚く金額ではありません。その後病状に合わせて、科を指定されるので、そちらで診察を受けます。総合病院で患者数がどの病院でも多いので、診察を診てもらうまで相当時間がかかります。
また、受診後会計で診察料を支払い、薬局で薬をもらいます。例えば救急車に乗らなければならない場合は、救急車が病院に着くと、運転手が救急車料金を請求します。ここで現金を支払う必要があります。日本では考えれらないシステムです。救急車から降りて病院に着くと、先ず玄関付近の会計でデポジット料金を支払わないと病院内に入れてくれません。もうだいぶ前の話になりますが、筆者の家内の場合は、5千元のデポジットを要求されました。
この様に、中国の病院は、日本と違って、先にお金を支払わないと受診ができません。筆者の家内の場合、生き死にの淵にいた状態で、病院の面前でお金の要求をされ、とても腹立たしく感じたものですが、これが国が違う場合の医療システムの違いなのだと理解しなければなりません。
また、日本であれば、健康保険がありますから、割安な医療費で受診できますが、日本の健康保険は役に立ちませんから、全て現金が必要です。大病や大怪我をして入院の必要がある場合は、5千元から1万元くらいの現金をお持ちになる必要があることを知っておいて下さい。
入院される場合は、家族が付ききりになる必要があります。看護婦さんは日本の様に患者の様々な要求に応じてくれません。彼女たちは医者のサポートが業務であるからです。ですから入院中の食事の手配、着替え、様々なトラブル対応は、患者の家族がする必要があります。ほとんどの場合、患者の家族は病院内で寝泊りし、患者の看護をします。筆者も一ヵ月半病院内で過ごしました。寝泊りするベッドはありませせん。とても過酷です。
更に、中国語が思うように話せない場合は、医療通訳さんを依頼して下さい。その都市に日本語の医療通訳斡旋会社が無い場合は、北京や上海などの大都市で探して派遣してもらって下さい。中国語が話せる場合でも、医療用語はとても難しいので、医療通訳さんに依頼するのばベストです。一定の金額がかかりますが、仕方ない事だと思って下さい。命には代えられません。
4. 大都市には外国人専用病院があります
地方都市とは違って、多くの外国人が居住し生活する大都市には、外国人専用病院がいくつも存在しています。多くは英語での対応病院ですが、北京や上海などでは日本語で対応可能な病院があります。
まず、日本語対応可能な病院の、名前、場所、連絡先は、事前に調べておかれる事をお勧め致します。駐在する場合は必須で、短期の旅行でも万が一の為に、調べておかれると安心だと思います。
5. 医療費はクレジットカード払いが可能
多くの外国人専用病院では、医療費の支払いがクレジットカードで可能になっています。中国の一般病院では人民元の現金が必要ですが、外国人専用病院の場合、精算はクレジットカードでできるので、とても安心な仕組みと言えます。勿論現金での支払いも問題ありません。
6. 日本の病院と同様の看護体制です
中国の病院では、看護婦さんは患者の対応をほとんどしてくれませんが、外国人専用病院では、日本と同様に看護婦さんがサポートをしてくれますから安心です。
7. 歯医者さんは日本の歯科医院が多く進出しています
中国には民間病院がありませんが、外国人専用病院は中国の病院と外国の医療法人がタイアップしていたり、外国資本の病院がそのまま運営していたりしています。概ねいくつもの科がある総合病院です。歯科医だけは、日本の歯科医院が個人レベルでも多数進出しています。
筆者も上海に駐在している時には、ある日本の歯科クリニックに通院しました。日本の歯科医院と全く同じ環境でした。お支払いもクレジットカードで可能でした。ですが、やはり地方の都市で歯の治療をしなくてはならない場合は、大変だと思います。
まとめ
中国では、地方と大都市で、外国人にとっての病院の位置付けが大きく変わります。その意味からも、駐在するのであれば、やはり大都市が望ましいと言えます。旅行の場合は、病院に行くケースは少ないとは思いますが、必ず海外旅行傷害保険に加入してから旅行されることをお勧め致します。
また、大都市の外国人専用病院でない場合は、一旦現金の支払いが必要になりますが、帰国後に申請すれば保険会社から返ってきます。いずれにしても、中国の病院事情は、日本に比べると遥かに遅れており、衛生面も心配ですので、くれぐれも健康と怪我には気をつけて行かれて下さい。
中国の病院事情!診察前に知るべき7つの注意事項!
1. 総合病院しかない中国の病院事情
2. 大都市と地方で違う外国人の病院事情
3. 地方都市の場合に知っておいて欲しい病院事情
4. 大都市には外国人専用病院があります
5. 医療費はクレジットカード払いが可能
6. 日本の病院と同様の看護体制です
7. 歯医者さんは日本の歯科医院が多く進出しています