お隣の国、中国は、日本とは全く異なるビジネス文化を持つ国です。もちろん、中国の人と一緒に働く時に注意するべきマナーも、日本とは異なります。筆者自身は8年間にわたり中国人の同僚や顧客と一緒にプロジェクトを進めた経験がありますが、その文化の違いにびっくりしたことが何度もあります。
そこで、今回は日本人も中国人も楽しく気持ち良く仕事が行えるよう、中国人と一緒に働く時に注意すべき8つのマナーを教えちゃいます!中国人と働くことになり、どんな性格の方が多いのか知っておきたい方、中国特有の文化やマナーについて知りたい方は、必見です!!
中国人と一緒に働く時に注意すべき8つのマナー!
1. とにかく面子を立てる!
「面子(メンツ)」というキーワードは、中国の人と付き合う中で、絶対に外せないものです。特に、中国人の部下をお持ちの上司の方は要注意!その部下がミスをした場合でも、同僚みんなの前で叱り飛ばす、などということは、あってはならないことです。中国人の部下は「面子をつぶされた!」となり、上司のことを信頼できなくなってしまいます。そのような場合は、別室でこっそり指摘する、などの配慮が必要になるでしょう。
また、中国の取引先で、董事長(日本でいう社長クラス)の方と一緒に仕事をする場合には、折に触れてその方の面子を立てることを意識しましょう。日本にはボトムアップの文化が根付いていますが、中国は完全なトップダウン方式。権力を持っている方を味方につけると、円滑に業務が進むことが多いです。
2. 個人プレーであることを理解する
日本は「和を以って貴しと為す」文化であり、他人と協働して結果を出すタイプの方が多いですが、中国人は完全な個人プレーです。組織に忠誠を尽くし、会社のために仕事をする、というより、自分の実績を積むため、出世するために仕事をする方が多いです。
そのため、待遇が悪ければ簡単に他社に移りますし、連帯責任という感覚もありません。自己主張も日本人に比べるとかなり激しい方が多いため、日本人の目からすると協調性が無いように映ります。しかしながら、基本的な背景として、中国人は個人のコネや能力により、ビジネスを進めるという大前提があるので、そこを理解しておくことが大切です。
3. プライベートを邪魔しない
中国の方は、家族をとても大切にします。また、日本よりも女性の社会進出が進んでおり、共働きが当たり前です。そのため、夕食作りは旦那さんが担当する、という家庭も少なくありません。
そうなると、連日連夜残業が当たり前、家事・育児は奥さんに任せきり、といった、日本では比較的一般的な働き方も、中国人にとっては受け入れられない可能性が高くなります。そのため、同僚や部下に中国人がいる場合、残業を無理に押し付けるのではなく、定時で上がるなど柔軟な働き方を許容することが大切になります。
4. カジュアルな服装で来ても驚かない
日本人、特に男性の方は、仕事といえばスーツが基本。冬は必ずネクタイをびしっと締め、真夏でもジャケットを着る方もいらっしゃるくらいです。
しかしながら、中国のビジネスシーンでは、日本よりかなりカジュアルな服装がスタンダード。一般社員はもちろんのこと、董事長(日本でいう社長クラス)の方も、夏は半袖シャツやポロシャツ、冬は長袖シャツにジャケットを羽織るのみでノーネクタイ、といったかなりカジュアルな恰好で仕事をしています。そのため、商談や出張の際、中国人の方が仮にラフな恰好をしていても「失礼な!」などど怒るのはマナー違反。単なる習慣の違いと受け止めましょう。
5. 手土産に「時計」「扇子」「ハンカチ」はNG!
中国からお客さんが来日したり、中国に出張したりする場合、手土産を用意することも多いはず。ただ、中国人に贈ると関係に亀裂が入ってしまいかねない贈り物があるので、要注意です。
例えば置時計や掛け時計。時計を送る、という意味の「送钟(ソンジョン)」という言葉は「送终(ソンジョン)」という言葉と、全く同じ発音をします。この「送终(ソンジョン)」というのは、親の死に水を取るという意味の非常に縁起が悪い言葉です。
また、扇子やハンカチなども、同様の語呂合わせや連想から、離別を想起させるとされています。これらのアイテムは、何も知らないとついうっかり贈ってしまいそうなもの。中国の方は縁起について気にする傾向がありますので、プレゼントをする際は、贈って問題が無いかどうか、一度チェックすることをおすすめします。
6. 余計な謙遜はいらない
上記で紹介したお土産やプレゼントを渡すとき、日本人がついやってしまいがちなのが、「つまらないものですが…」などと謙遜してしまうこと。ところが、中国人からすれば、これはかなり失礼な行為。日本文化に詳しい方なら良いですが、一般的には「なぜ私にそんなつまらないものを渡すのか」となります。
では、どうしたら良いのでしょうか?正解は、「一生懸命選んだ良い品だとアピールする」こと。「これは私の一番のおすすめです!」、「〇〇さんに最高のものをご用意しました。ぜひどうぞ!」などと、贈る相手に相応しいものであることをストレートに言葉にしましょう。きっとあなたの誠意が伝わるはずです。
7. 真夏でも温かい飲み物を提供する
中国の方にとって、漢方や鍼治療などは、日本以上に一般的なもの。中国で発展してきた中医学は、現代医療が発達した現在も、中国の人々の生活に根差しているのです。その思想の一環で、中国の人々はよく、「体を冷やしてはいけない」と言います。そのため、老若男女問わず、真夏でも熱いお茶を飲むのが当たり前。エアコンの効いた会議の席などでは、例え夏でも温かいお茶を出すのがスタンダードです。
また、冷たいものを避けるあまり、中国現地では、ビールも常温で提供します。もし、中国の方が来日する場合は、冷たいビールの他に、しばらく室温になじませたビールを用意しておくと良いかもしれません。
8. 宴席の「干杯」は最後の一滴まで飲む
中国人との宴会は、ビジネスの最前線といっても過言ではありません。ここで気を付けたいのは、お酒を飲む時のマナー。日本語の「乾杯」は、中国語では「干杯(ガンベイ)」と書きます。杯を干すという文字通り、相手に「干杯」と言われたら、最後の一滴まで全部飲み干すのがマナー。ここで残すと、相手の顔に泥を塗ることになり、大変失礼な行為になってしまいます。
後でしこりを残さないよう、下戸の方は、最初から「アルコールアレルギーがありまして」などと一言断っておくことが大切です。
まとめ
マナーとは、自分も他人も、気持ちよく生きるために必要なもの。ビジネスでも、上記にご紹介した中国人と一緒に働く時の8つのマナーを入り口にして、日中双方の文化や習慣の違いについて理解を深めていけるといいですね。
中国人は、一旦心を開くと、とことん優しくしてくれる情に厚い方が多いです。自分と相手の違いを理解した上で、ビジネスパーソンとして、そして一人の人間として中国の方と交流していくと、今までとは違った発見や新しい世界に出会えることと思います。
中国人と一緒に働く時に注意すべき8つのマナー!
1. とにかく面子を立てる!
2. 個人プレーであることを理解する
3. プライベートを邪魔しない
4. カジュアルな服装で来ても驚かない
5. 手土産に「時計」「扇子」「ハンカチ」はNG!
6. 余計な謙遜はいらない
7. 真夏でも温かい飲み物を提供する
8. 宴席の「干杯」は最後の一滴まで飲む