外国で生活するにあたって銀行口座の開設は必要なものです。現在中国では、都心部で9割以上の人がモバイル決済を利用していて、日本以上にモバイル決済がメジャーになっています。
このモバイル決済を上手に使いこなしたいところですが、中国本土の銀行口座がないとスマホでの支払いができません。外国人である日本人にも簡単に銀行口座を開設することができるのでしょうか?
そこで今回は、現地在住の経験がある筆者が中国での口座開設の手続方法やメリットなどをご紹介します。
中国で銀行口座を開こう!在住経験者に聞く7つのポイント!
1. 外国人が中国で銀行口座を開設するのに必要なもの
外国人であるあなたが中国の銀行口座を開設するためには、現地の銀行窓口で直接手続きをする必要があります。準備するものは、
1.パスポート
2.外国人居留証
3.中国の携帯電話番号
4.納税者番号(マイナンバー)
5.中国の住所
6.開設時に口座に入れる現金50~100元程度
です。銀行によって必要書類が異なり、もっと少ない書類で済むこともあります。2の外国人居留証は中国に長期滞在する外国人が取得するものです。持っていない場合はビザでも代用可。3は本人確認のために必須です。中国の携帯電話番号なんてないよ!という人はSIMフリーのスマホと使い捨てのSIMフリーカードを購入するという手もあります。
なお、中国のビザについては以下の記事で特集していますので、こちらも合わせて一読しておきましょう。
2. 口座開設の具体的な手順
手順は日本の銀行とほぼ同じです。口座開設の申請書類を書き、順番の番号札を取って待ちます。窓口に呼ばれたら(窓口の上の電光掲示板に表示されることもあります)、「我要开户(ウォ ヤオ カイフー/口座を開設をしたいです)」と伝え口座開設申請書類を渡しましょう。携帯電話にSMSで本人確認のコードが届くので、係員に見せながら手続きを進めていきます。
ここで注意したいのが、ネットバンキングとモバイル決済の機能です。使いたい場合は
我要使用网上银行 / ウォ ヤオ シーヨン ワンシャン インハン
ネットバンキングを使いたいです
我要使用网上支付 / ウォ ヤオ シーヨン ワンシャン ジーフー
モバイル決済を使いたいです
と伝え申請書の項目にチェックをしてもらって、必要な機能を付けます。パスワードは日本と違って6桁なのであらかじめ考えておくと窓口で慌てずに済みますよ。
中国語に自信がない人は、いざとなったら筆談も使えます。英語は都市部の支店の行員であればできる人もいますが、対応できない人も多いので注意。
なお、中国で英語が通じるかどうかは、以下の記事でまとめていますので、こちらも合わせて読んでみてください。
3. 旅行者には口座開設は至難?
新規の口座数が急増した中国では、マネーロンダリングや金融犯罪などが多発するようになりました。それに伴い、近年中国政府は外国人の口座開設を以前より厳しく管理するようになっています。以前はビザを持たない旅行者でも可能でしたが、短期旅行者(日本人は滞在期間15日間以内であればノービザでOK)の口座開設は難しいと言えます。
ただ短期滞在者でも口座開設ができたという声があるのも事実。中国の銀行窓口は対応がまちまちなところがあるので、支店の規模や担当者によっては開設ができることもあるようです。開設できた人の多くは中国語が話せたり、現地の中国人に助けてもらっているようですね。自己責任にはなりますが、どうしてもという人はトライしてみるのもアリなのではないでしょうか。
4. 口座を開設したらモバイル決済!
外国人が中国の口座を開設したい最大の理由が「モバイル決済で快適な中国ライフを過ごしたいから」と言っても過言ではないでしょう。中国はいまやモバイル決済大国。一緒にご飯に行っても持ち物はスマホだけで、誰も現金を持ち歩きません。銀行口座を開設したら、この便利生活を享受できるのは魅力的ですよね。
中国の電子マネーというと、メッセンジャーアプリ「WeChat」のWeChatPay(微信支付)と、中国最大のインターネットショップタオバオを運営するアリババ・グループの展開するアリペイ(支付宝)が有名。これらのアプリをダウンロードして、口座の情報を登録すればOKです。前述した銀行での開設手続の際に「网上支付(モバイル決済)」の機能を付けることをお忘れなく!
現地のWeChatPayなど電子マネーについては、以下の記事で詳しく解説していますので、旅行前に読んでおくことをおすすめします。
5. ATMに関する注意点
スマホ決済が主流といっても現金を引き出す機会がゼロとは限りません。中国語でATMは「自动存取款机(ズードン ツンチュークァンジー)」といい、日本のように銀行内にあるものと屋外にあるものがあります。屋外のATMは建物の外壁に設置されているので、現金を引き出している背後で人の往来があります。安全面を考えると屋内のATMを使うのが無難と言えるでしょう。
現金を引き出すときはATMにカードを入れ画面の表示に従います。
存款/ツンクァン/現金預け入れ
取款/チュークァン/現金引き出し
确认/チュエレン/確定
余额查询/ユーア チャーシュン/残高確認
退卡/トゥイカー/カードを戻す
などの単語を知っておくと便利ですね。
ただ、ここでひとつ注意!「退卡」ボタンを押しカードが出てきたらすぐに取ってくださいね。30秒そのままにしておくと防犯上の理由からカードが機械に呑まれてしまうことがあります。
6. 普通預金や定期預金の利息は?
中国語で普通預金は「活期存款(フオチー ツンクァン)」、定期預金は「定期存款(ディンチー ツンクァン)」と言います。気になる利息は中央銀行である中国人民銀行によって普通預金は0.35%、定期預金は3ヶ月定期で1.1%、6ヶ月で1.3%、1年で1.5%、2年で2.1%、3年以上の定期預金で2.75%と定められています(2019年1月)。多くの銀行でこれを基準とした利息が設定されています。
ゼロ金利政策の日本では考えられない利息なので、長期滞在を考えている人は定期預金も考えてみてはいかがでしょうか?
7. オマケ:日本国内にある中国4大銀行の支店
少し話はそれますが、中国の銀行の日本支店の口座でモバイル決済できたら、言葉や手続きの心配も要らないので安心ですよね。
中国の4大銀行である中国銀行、中国建設銀行、中国工商銀行、中国農業銀行には日本支店があるので問い合わせてみました。が、残念ながら中国農業銀行以外の三行では「日本で開設した口座は中国本土のモバイル決済には使えない」との回答で、中国本土の銀行とはまったく別物の扱いのようです。
なお中国農業銀行は「法人業務のみで個人業務に対応していない」ということでした(2019年9月19日現在)。ただし中国銀行で銀聯デビットカードを作り現地で使うことはできます。現地での口座開設はハードルが高い…という人はぜひ念頭に置いておいてくださいね。
なお、現地のクレジットカード事情については、以下の記事にまとまっていますので、こちらもぜひ一読してみてください。
まとめ
いかがでしたか?
買い物、タクシー、外食の支払い、個人間の現金のやり取り…生活のあらゆる場面でモバイル決済が主流の中国。長期滞在を予定している人にとって銀行口座はなくてはならないものと言えますね。
銀行での手続き時には、紹介した「モバイル決済」の項目のチェックをお忘れなく。そのほか定期預金の高い利息も見逃せません。中国にひとつ口座を開設すると様々な可能性が広がるので、ぜひ上手に活用してみてくださいね。
中国で銀行口座を開こう!在住経験者に聞く7つのポイント!
1. 外国人が中国で銀行口座を開設するのに必要なもの
2. 口座開設の具体的な手順
3. 旅行者には口座開設は至難?
4. 口座を開設したらモバイル決済!
5. ATMに関する注意点
6. 普通預金や定期預金の利息は?
7. オマケ:日本国内にある中国4大銀行の支店